思い描いた大作が書けないのはなぜ?鬱兔は二つの理由があると考えています。一つは実力がまだ足りず、頭の中の豊かな場面をうまく組み立てられないこと。もう一つは完璧主義で、最初からハードルを高くしすぎた結果、なかなか書き始められなかったり、書き始めてすぐに自分を否定してしまったりすることです。彼女は、自分ならではの経験や大好きなものの中に創作の意味を見つけ、自分にしか書けない作品を書くこと、そしてひらめきが訪れたときに書き切れるよう、筆力を磨き続けることを勧めています。
※鬱兔による中国語の原文を翻訳したものです。
大作を書きたいのに、いつも思いどおりにならない
自分が書く文章には、誰だって大きな期待を寄せていますよね?
何度も味わいたくなるような文章や、世の中の数多くの作品を超える逸品を書けたらいいのに。でも書き始めるたびに、思っていたのと何か違う気がして、書けば書くほど自信がなくなり、「私はいったい何てひどいものを書いたんだ」と思ってしまう。これはいったいどういうことなのでしょう?
主な原因は、実力がまだ足りないので、頭の中で思い描いた筋書きや場面をうまく組み立てられないことだと思います。頭の中ではすばらしい光景を想像しているのに、いざ筆と白い紙を渡されると、棒人間しか描けない感覚によく似ています。
想像の中の光景が豊かなのは間違いありません。でも実力がまだ及ばないから、その美しい光景をありのままに描くことができないのです。これはほかの分野でも同じで、筆を執れば流れるように書ける人や、描く絵が詩になるような人は、みんな経験を積んで、想像を現実に変える力を手に入れたのです。
完璧主義が邪魔をする
実力不足のほかに、もう一つ原因があると思います。
――完璧主義のせいです!
小説の構想を練り始めたばかりなのに、最初から高いハードルを設定してしまう。この作品が世に出たら文壇でブームを巻き起こし、次々といろいろなメディアに展開され、あちこちから取材の依頼が絶えず、ライセンス料で贅沢な暮らしを送る……と想像するのです。
でもそのためには、超完璧で超斬新な、ほかの凡人には思いつけないものでなければならない。そうしてこそ文壇でそんな高みに立てる。では逆に、ここから先はどうする?いや、待って、さっき考えた筋書きでみんなを唸らせられる?ダメだ!もっとすごくないと――
そうやって頭の中でアイデアをぶつけ合い続け、地球上の何十億人を平伏させるようなアイデアをひねり出そうとする。そして日々が過ぎていき、一文字も書いていないか、冒頭を少し書いただけで、それきり手をつけなくなってしまうのです。
あるいは書き始めても、しばらくすると頭の中で「これ、つまらなくない?」「前はすごくいいと思ったのに、どうして?」といった声がして、深い自己嫌悪に陥り、だんだん書き進められなくなる。あなたのいわゆる「大作」はそのまま未完で放置され、何日も、何か月も、何年も過ぎて、いつまでたってもほんの少しのまま。
こう言われると、痛いところを突かれませんでしたか?
なぜ多くの作品は平凡なのか
同胞の皆さん、私たちは同じ地球村に生きる一員です。違う仕事をしていても、違う家庭の出身でも、世界観は同じ――基本的に考え方もだいたい似ているはずです。とても特別な経験をしているか、天の恵みで思いがけずいいひらめきを得たのでもない限りは。
これほど似ている私たちが、天才でもないかぎり、思いつくものは日常を超えるのが難しい。だからこそ、大多数の作品は「平凡」になるのです。でも落ち込まないで。私たちがやるべきことは、自分の「特別」を掘り起こすことです。
自分にしか書けない作品を書く
自分にしか書けない作品を書いてこそ、特別な存在になれるチャンスがあります。結局は、自分の内側に創作の意味を探さなければなりません。人とは違う自分の経験や大好きなものから、「あなた」にしか書けない独自の題材を織り上げ、たっぷりの情熱と愛を注いで完成させる。そうしてこそ、あなたという「人」が見てもらえるのです。
その作品があなたの個性を輝かせるから、作品は自然と「違う」ものになり、長く愛される大作になるのです。
しかも不思議なことに、そういう作品には、それほど意表をつく筋書きや設定は必要ありませんし、何文字か書くために長い時間をかけて頭をひねる必要もあまりありません。むしろ、本当のあなたを映していて、あなたにとても近いものだからこそ、書くときもあまり苦労せず、自然と形になっていく感覚があるのです。
まずは筆を磨こう
その宝物をどう掘り当てるのか、私もまだ探している途中です。まだ見つかっていなくても焦らないで。きっとまだ、この世界での経験が足りないだけ。顔を上げて世界をもっと見て、自分の生活を大切に送り、身近な人との出会いをしっかり味わえば、いつかそれが頭の中に舞い降りてくるかもしれません。
でも、ただ受け身でひらめきを待っているだけでもダメです。その前に筆を磨いておけば、それが訪れたとき、思い描いたものを余すところなく書き切れますよ。
よくある質問
たいていは実力がまだ足りず、頭の中の筋書きや場面をうまく組み立てて、文章として表現しきれないからです。
最初からハードルを高くしすぎると、なかなか書き始められなかったり、書き始めてすぐにつまらないと感じて自分を否定したりしやすくなります。
自分ならではの経験や大好きなものの中に創作の意味を見つけ、自分にしか書けない物語を書き、筆力を磨き続けましょう。
関連記事
著者について
鬱兔は台湾のライトノベル作家・小説家VTuber。業界歴10年以上、紙の商業出版は40冊に上ります。『遺失的情書』で台湾文化部の若手創作助成(2022年度)を受賞。『嘿!聽說妳在鬼島當作家』シリーズでは、台湾で小説家として生きる日々を綴っています。

コメントを残す