小説の共作はいい?小説は誰かと一緒に書くのに向いている?鬱兔は、小説はできるだけ「ひとりで完成させる」ことをすすめています。共作は文体の差が出やすく、コミュニケーションコストが高く、推敲で文体を統一するのも大変。完成後には著作権や利益配分の問題もあり、友人を失うことさえあります。彼女自身も苦い共作経験があり、短編集でもない限り、ひとりで作品を書き上げることこそ執筆技術を高める必須の道だと考えています。
※鬱兔による中国語の原文を翻訳したものです。
短編小説をまとめた本や、完成済み作品のアンソロジーを除けば、小説作品は「ひとりで完成させる」ほうがいいと私はすすめています。不安なら、書き上げてから誰かに推敲を手伝ってもらえばいいのです。
共作で生じる文体の差とコミュニケーションコスト
どんなに書き方が似ていても、人はそれぞれ違う個体なので、やはり差は出ます。混ぜて書いたまま推敲で統一しなければ、読者は読んでいてギャップを感じるかもしれません。二人の実力差が大きければ、違和感はさらにひどくなります。
それにコミュニケーションも面倒です。執筆は複雑で、たくさん考える必要があります。自分の考えを相手に伝えようとしても、言葉や文章でやり取りするうちに、多かれ少なかれズレが生じます。作品が完成する前から、相手とのやり取りに膨大なエネルギーを使わなければならないし、考えは揺れ動くものなので、少し変更するたびにまた話し合いが必要に……。
考えただけで疲れますが、誰かとこうして密に分かち合う感覚が好きな人もきっといるのでしょう。
得意分野を分担すれば完璧?
「自分はバトルシーンが苦手、相手は恋愛シーンが苦手。なら二人で組めば完璧じゃない?」と思う人もいるかもしれません。
いい考えのようにも思えますし、「執筆スタジオ」というものを聞いたことがある人もいるでしょう。大長編を大勢でリレー形式に書くものです。ただ、それは純粋な商業活動で、お金で皆に納得して働いてもらうもの。友情で支え合うより、ずっと確実です。
でも共作をしたいと思うのは、たいてい友人や家族でしょう。仲が良いから一緒に作品を完成させたい。それはすてきなことですが、その作品が原因でかえって仲たがいすることがないとは言い切れません――ゴホゴホ!
そのうえ、推敲する人も大変です。作品の文体を統一しなければならず、それはたいてい共作者のどちらか。相手の書き方をまねる人もいるかもしれませんが、それでは自分の創作を伸ばす機会が限られてしまいます。
著作権の帰属と利益配分
ようやく作品が完成したとしても、次は著作権の帰属の問題があります。
関係に利益が絡むと面倒です。お金や時間を失うのはまだいい。最悪なのは、親しい友人を永遠に失うかもしれないことです。
友人と一緒に会社を立ち上げるのに似ていると思います。友人同士で起業して仲たがいした話はよく耳にしますが、たいていは利益の分け方がうまくいかなかったから。自分のほうが多く働いたと思う人、自分のほうが貢献したと思う人がいて、戦争になるのです。
私の苦い共作経験
実は私も他の人と共作したことがありますが、かなり痛い教訓になりました。
もともとのパートナーが、何の相談もなく代わりの人を見つけてきて、私は結果だけを聞かされました。相手は何冊か本を出しているようだったので大丈夫だろうと思ったのですが、ひどい遅筆なうえに基本的な文章力すらなく、私が推敲や誤字チェックにさらに時間を割くはめに。今思い出しても腹が立ちます。
まさに悪夢でした。あれほど不愉快だった作品はほかにありませんXD
共作の過程でいい経験をする人もいるかもしれませんが、個人的には生きているうちはもう考えません。短編集なら別ですが。
ひとりで書き上げてこそ本当に上達する
共作にも、得意な部分だけ書けばいいとか、半分の時間で一冊書けるといった利点はあるでしょう。でも個人的には欠点が多く、苦手な部分を練習する機会もなくなると思います。
執筆技術を高めたいなら、最初から最後までひとりで作品を書き上げる力が必要ですし、根気よく練習して磨き続けなければなりません。だから特別な事情があるか、一度共作を体験してみたいのでなければ、ひとりで書くことをおすすめします。
よくある質問
文体をそろえにくい、コミュニケーションコストが高い、推敲で文体を統一するのが大変、完成後に著作権の帰属や利益配分の問題が出る、といった点です。
得意な部分だけを書けたり、一冊を書き上げる時間を短縮できたりします。ただ鬱兔は、デメリットのほうが多いと考えています。
短編集や完成済み作品のアンソロジーなら向いています。長編はひとりで完成させ、不安なら書き上げたあとで誰かに推敲を手伝ってもらいましょう。
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著者について
鬱兔は台湾のライトノベル作家・小説家VTuber。業界歴10年以上、紙の商業出版は40冊に上ります。『遺失的情書』で台湾文化部の若手創作助成(2022年度)を受賞。『嘿!聽說妳在鬼島當作家』シリーズでは、台湾で小説家として生きる日々を綴っています。

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